書籍

なんしょんな!!香川・PARTT
なんしょんな!!香川・PARTT
「行政の役割」水は誰のものか/人の渡らぬ橋、車の走らぬ道/広い家 他
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTU
なんしょんな!!香川・PARTU
「高齢者対策の処方箋」
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTV
なんしょんな!!香川・PARTV
「教育の危機」学校教育の危機/崩壊する家庭教育/的外れの企業内教育
1,200円+税
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
「Q&A」行政の役割/水問題/交通問題/時事
800円(税込み)
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
この本は、都村長生氏の政経塾「長生塾」とそのホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです
800円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
この本は、当ホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2003年5月〜2007年3月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2007年5月〜2008年12月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税

長生塾ホームページ終了のお知らせ

なんしょんな Q&A詳細

  • 【171】 政治の後継者づくり(2010.2.8) (善通寺市・教員)
     Q150「小沢バッシング」で都村さんは「日本人はリーダーを能力に関係ないことでバッシングして、能力を発揮する前に潰してしまう」とおっしゃっていましたが、民主党の小沢さんがまたお金の問題でバッシングされています。民主党の実質的なリーダーが小沢さんだというのはみんなわかっていると思いますが、ここで彼が潰されると一体何がどうなるのか、ぜひ考えをお聞かせ下さい。
  • もういいかげんにしてくれ!

     先に鳩山氏が母親から何億円もお金をもらったことで追求され、今度は小沢氏のお金の話ですね。何度も申しますが、マスコミも評論家も国民も本当にもういい加減にして欲しい、というのが私の正直な感想です。私たちは彼らに何を期待して選んだのか、その優先順位がマスコミや国民に全くないとしか言いようがありません。そもそも有権者の皆さんは先の選挙で「日本を変えてくれること」を期待して、汚れた金を集めた小沢氏が実質的に率いる民主党を選んだはずですね(誰も小沢氏が清廉潔白な政治家だとは思っていなかったはずです)。その上で目的に対して結果が出なかったのなら(日本が何も変わらずに良くならなかったのなら)「あなたには能力がないから辞めなさい」と言うのはわかりますが、結果を出す前にObjective(期待したこと)とは関係ないマイナーなスキャンダルで自分たちが選んだリーダーを引きずり下ろそうとする。そんな非合目的的なリーダー交代をこれまで何年続けてきましたか? その結果、気がついたら日本では政治の世界で次のリーダーとなるべき後継者が全くいない、日本の国として「非常事態」と言っていい状況になってしまったのです。そこで、ここではもう悠長なことは言っていられませんので、この非常事態下での対処法を考えてみたいと思います。

     後継者を育てるのはリーダーの大事な役目の一つです。実力のあるリーダーが次の世代のリーダー候補者を育て、時代に合った後継者を選んで譲っていく…このサイクルが回らない限り、会社でも政治の世界でもおかしくなっていくのは当たり前です。しかし日本の政治の世界では、リーダーが次期リーダー後継者を育てる以前にマスコミや国民が小さなことを論(あげつら)って何度も何度もリーダーを引きずり下ろし、使い捨ててきた。そういう非合目的的なメンタリティが自民党の時代からずっと続いてきたわけです。そしてもう誰もいなくなってしまった…。そこで、ここ数年間は非常時と割り切り、政治家を本来の仕事以外のスキャンダルで辞めさせるのはやめよう、というのが私の提案です。そうやって一度落ち着いてきちんとしたリーダーを育て、人材育成のサイクルを軌道に乗せてから(つまり優秀なリーダー候補が何人も育ってから)不都合があれば時のリーダーを辞めさせる…そういう形を作らない限り、日本はもう持たないと思うのです。ご質問にある「民主党の今後」に関する話の前提として、少し長くなりますが「リーダーの選抜と育成」について、私の考えをお話ししておきましょう。

    後継者選抜における3つのリスク

     例によってビジネス(会社)の話から入っていきます。1996年に私は『ハーバードビジネス』(ダイヤモンド社)の「次世代型経営トップCEOの条件」という特集の巻頭に「経営トップのミッションと選抜・育成のシステム」という論文を掲載しました。そこで警鐘を鳴らしたことが10数年後の今、政治の世界で現実に起こっているので、その論文の内容をかいつまんでご紹介します。結論から言いますと、日本の企業ではトップが後継者を育てるシステムを知らず、また選ぶための原則も知らないために、後継者がきちんと育ってこなかった、ということになります。その結果、事業環境の変化に対応できず、会社が傾いてしまうという危機が現実化してしまったのです。それは企業だけでなく政治の世界でも同じであり、その危機が20年遅れで具現化してしまったのが現状の日本の政治だと言えます。では、私が言う効果的な「後継者の育成・選抜の原則」とは何か?

     後継者の選抜・育成というのは、単純に「総合的な能力の一番優れた者を後継者に指名すればいい」というものではありません。会社というのは、事業環境によって求められるリーダー像が変わってくるからです。能力でリーダーを選ぶのではなく、事業環境がリーダーを選ぶのだ…ここがポイントなのです。例えば、会社が放っておいても伸びていくような膨張期には調整型のリーダーが求められるだろうし、停滞期に入って新たな成長が必要な局面ではパルチザン型のリーダーが求められる(S字成長曲線についてはQ164参照)。つまり、事業環境がリーダーを選ぶのです。従って、異なったタイプの能力のある者を複数人、後継者候補として育て、選抜時には複数の候補者の中から(もちろん全員優秀であることは言うまでもありません)来るであろう事業環境に合って最も能力を発揮できると判断した者を選ぶのが、効果的な後継者選抜の方法だということになります。

     ただし、私の分析では、後継者選抜・育成には「均一化のリスク」と「限定化のリスク」「トレーニング不足のリスク」という、特に日本の企業に顕著な3つのリスクがあり、そのリスクを最小化するよう組織として対応しなくてはならない、というのが鍵となります。まず「均一化のリスク」は官僚的な企業によく見られますが、同じタイプの後継者候補ばかりを育ててきたため、事業環境が変わった時に候補者全員にバツが付いて、求められるタイプの後継者が誰もいない、というリスクです。皆さんは時々、企業人事で「平取締役が大抜擢され、上位役員を10人も20人も飛び越えて新社長に就任した」というニュースを耳にしたことがあると思います。しかし、これは「さすがは○○、大抜擢だ」と感心している場合ではないのです。そこではこの均一化のリスクが表面化してしまったというケースが大半だからです。つまり、上位の役員の中には次期社長候補が何人もいたはずなのに、事業環境が変わって「これからはこういうタイプのトップが必要だ」となって選ぼうとしたら、ふさわしい能力を持った者が誰もいなかった、仕方なく「じゃあ、お前やれ」となってしまった、という場合が大半なのです。こんな企業の未来がどうなるかは想像に難くないでしょう。

     次に「限定化のリスク」というのは、オーナー企業等によくあるリスクです。つまり、社長が「自分の息子を次期社長にする」と最初から後継者を一人に決めて(限定して)、いわゆる帝王学を教え込んで育て上げるパターンです。しかし、この方法には「限定した後継者に能力があるかどうかわからない」というリスクがあることはもうおわかりですね。さらに、仮に幸運にもその後継者が能力のある人物であっても、彼を育て始めた時と彼に社長を譲る時では事業環境が変わっていることが多い。こういう時代ですから10年も経てば事業環境は激変します。すると、10年前に選んだ後継者が現時点でも環境に合った経営者である保証はどこにもない。従って、後継者を限定して一人に絞って育てあげるというのは最もリスクが高いと言えます。

     3つ目は「トレーニング不足」です。日本の会社では社員教育は盛んにやっているのですが、驚いたことに社長を育てるというトレーニングを誰もやっていない。1996年当時で次期社長を育てる役員教育を実施している日本企業は何と一社もなかったという私の調査結果が残っています。ここでは詳細は略しますが、これは「役員になれば“上がり”だ」という日本の企業文化に一番の原因があると思います。ちなみに先に紹介した「20人抜きの大抜擢」をされた新社長も、トレーニング不足のリスクを抱えているケースが多いことがおわかりでしょう。

    自民党は「均一化のリスク」でダメになった

     では、この後継者選抜・育成のリスクを政治の世界で見てみましょう。実は「自由民主党は均一化のリスクが顕在化しつつあり、このまま行けばいずれは滅ぶだろう」というのが当時の私の推論でした。先述の『ハーバードビジネス』の中で、私は当時の自民党をサンプルにして以下の人材マップ図を作りました。(下図参照)



     これは当時の自民党派閥リーダーのタイプ別分布図です。縦軸は「経済運営の手法」で、富の分配能力に長けたリーダー(富の分配型)か、あるいは富を作り出す成長戦略に長けたリーダー(富の創造型)か、という度合いを表しています。横軸は「経済運営の判断基準」を表し、現実に合わせた調整能力に長けたリーダー(現実主義型)か、ビジョンを掲げてそれに沿って判断していくビジョンプル型のリーダーか(原理原則型)、という度合いを表しています。つまり、自民党リーダーたちを4つのタイプに分類してみたのです。繰り返しますが、「どれがいいか」という話ではありません。時代が何を求めているかによって、どういうタイプのリーダーが必要かが決まるのです。例えば、戦後の高度成長期(1960〜80年代前半)には経済がどんどん伸びていっているわけですから、成長型のリーダーを選ぶと大変な齟齬をきたしてしまいます。決められたことをきちんとやっていく現実主義型のリーダーを選ぶのが最適だったのです(図の左下の象限)。しかし今(1990年以降)は成長が止まって、新しい成長を生み出さないといけない環境下にある。すると、今求められるリーダー像はビジョンを掲げて実行し富を生み出すパルチザン型のリーダーだ(右上の象限)、ということになるわけです。

     そこで当時、私は自民党の秘書を数人集めて、自民党の歴代の首相およびキーパーソンがどの位置にいるか自由にプロットしてもらいました。すると、見事に全員が左下の象限に入ってしまった。今から時代を振り返ってみればなるほどと納得されると思いますが、高度成長期にはこれで自民党政治はうまくいっていたのです。ところが時代が変わって日本が成長欠乏症の局面に入り、右上の象限の人材が必要になった時、自民党には時代が求めるリーダーが誰もいなかった。従って、時代に合わない首相を次々に立てざるを得なくなり、成長戦略を何も打ち出せないまま、このたび(2009年の政権交代)の敗北になってしまった。まさに「均一化のリスク」が自民党を潰したと言えるでしょう。ちなみに1988年にリクルート事件が起こって翌年竹下内閣が倒れた時、当時の後継者候補だった有力議員全員にバツが付いてしまい、結局「トレーニング不足」の宇野内閣になりましたが、これも自民党が「均一化のリスク」を昔から抱えていたというわかりやすい例です。

    民主党は「均一化のリスク」の上に「トレーニング不足」も抱えている

     さて、問題は今度の民主党です。私は民主党の議員の調査はしていませんので感じたままに申し上げますが、まず全員が左下のゾーンにいることだけは間違いないでしょう。何しろ、喜々として事業仕分け等やっているのですから。さらに言えば、小沢氏を除いて全員がリーダーとしてのトレーニング不足であるため、私に言わせればこのマップ上に名前さえ上がらない状況だと思っています。

     トレーニングについて言えば、この表に載っている自民党のリーダーたちは「派閥」という組織の中で曲がりなりにもリーダーとしてのトレーニングを受けてきたと言えます。私は当時の派閥というものを、次期リーダー育成機関としてはある程度評価しています。派閥というのは小さな会社組織だと考えればいい。派閥のリーダーは自分で金を集めてそれを配って人をマネジしていたわけですから、人事権と予算権を持ってしかも売上も自分で上げるという会社の社長であり、それはとりもなおさず経営そのものでしょう。従って、いいか悪いかは別にして派閥の長を経験して行くことは経営者のトレーニングを積んでいるのと同じなのです。だから、自民党の中では「現実主義型で富の分配型」のリーダーがそれなりに育ってきたと言えます。

     中でも私がトレーニング方法として一番評価しているのは「お金(政治献金)集め」の仕事です。会社で言えば売上(営業)に相当するのでしょう。何しろリーダーは一人で後述するように年間十億単位の金を企業から集めねばならない。売り込む商品は「自分」しかありません。企業の経営者もバカではありませんから、ボンクラに何千万円、何億円の投資をしてくれるはずがない。「自分がどれだけ魅力的な商品であるか、それはなぜか」を自ら相手に示し、納得させねばならない。当然「トップとは何か、経営とは何か」をOJTで修得できる…まさにトップ営業そのものなのです。マップに載っている自民党のリーダーはほぼ全員、自分でこれをやってきたオーナー型派閥領袖です。集めた金が汚いのかどうかは別にして、自民党の旧領袖にある程度次期後継者としての資質が準備されていたのには、こんな背景があると私は考えています。

     蛇足ながら、この旧自民党型後継者育成トレーニングが機能したのは小渕総理くらいまででしょう。その後はオーナー型派閥領袖は実質上誰もいなくなり、派閥の組織だけ引き継ぐ二世型領袖ばかりになってしまった。つまり、自分で企業から金を集めることをやらない(やろうとしてもその能力がない)領袖ばかりになってしまったのです。当然経営者としての資質に大きな穴があき、トレーニング不足の総理が続出した。森、小泉、安倍、福田、麻生、鳩山…日本に何が起こったかは皆さんが一番ご存じのはずです。お金というものに対する理解は、会社を経営していく上での絶対の必要条件となってくるのです。

     ところが民主党の場合はもっとひどい。自民党時代のトレーニングを受けた小沢氏以外、派閥式後継者トレーニングを受けてきた人材が誰もいない。それに代わる育成機関も全く存在しない。従って、後継者候補などいるわけがない。さらに民主党は今度「企業献金を集めてはいけない」という方向に舵を切ろうとしています。すると、こんな状況下でまた小さなスキャンダルで小沢氏を辞めさせれば、次期リーダーはそれこそトレーニングも受けていない課長クラスが社長に抜擢(?)されるようなことにならざるを得ない。もちろんお金を集められる人もいなくなる。いい悪いは別にして、これまでは「リーダーがお金を集めて選挙資金として配り、人を動かしていく」というのが後継者の育て方でした。私はそれが最善の育成法だとは言いませんし、ダーティな面があるのも百も承知です。しかし、問題なのは誰もその代わりになる育成法を準備もせず、いきなり既存の育成システムを全否定しようということにあります。つまり、それを壊すのはいいのですが、その代わりになる育て方もないままに壊せば、必然的に能力のない者がトップに立つことになり、結局一番迷惑を被るのは国民になるからです。そういう“人体実験”はもういい加減にやめませんか? というのが私の提言です。とにかくこの4年間は、小沢氏が好きだろうが嫌いだろうが目をつぶってでもやらせて次のリーダーを育てない限り、日本にリーダーがいなくなり、漂流してしまうからです。

    日本人には個人献金をするカルチャーがない

     しかしそれにしても日本人は、「政治と金の問題」について根強い嫌悪感を持っているようです。そこで少し大まかな計算をしてみましょう。なぜ金が必要なのか? よく言われているのが「政治活動をするのに議員一人あたり年間1億円以上かかる」という数字です(政策スタッフや秘書を抱えて東京と地方で選挙活動もやるのですから、それくらいはかかるのでしょう)。国会議員の数が衆参合わせて702人、そのうち与党(民主党)の国会議員は368人いますから、大ざっぱに言って与党全体で400億円くらいの議員経費がかかっていると思います(ただし、党中央本部の維持コストは党員会費でまかなえてチャラだとしましょう)。イメージとして、「地方選挙基盤を維持するために議員一人あたり4〜5人のメンテナンス要員(秘書等)を抱えている、社員1500人、売上400億円くらいの中堅企業」が与党の姿だと考えて下さい。この会社は「年商1億円超で社員4〜5人の中小企業350社の集合体」だと考えると、全体感がイメージできると思います。

     これに対し、入ってくるお金には、まず国からの政党助成金があります。政党助成金は国民一人あたり250円ですから、人口1億2700万人をかけると約300億円。そのうち与党民主党には、議員数比率からすると約半分の150億円くらいが配分されているわけですね。しかし経費が400億円かかるのですから、これでは全然足りません。そこであとは議員が自分で個人献金や小口企業献金を集めたり、自分の給料や資産をつぎ込んだりしているわけです。私は議員の方から「年間5000万円を自分で用意するのはかなり大変だ」という話を何度も聞いたことがありますので、おそらく議員一人あたり献金も含め3000万円〜5000万円くらい都合をつけられるといったところでしょうか。それに議員数368人をかけると、これも大体150億円くらい。すると、400億円かかるところに収入は政党助成金と議員が自分で集めてくるお金を合わせて300億円ですから、それでも100億円足りません。それをこれまで自民党は、派閥の長が企業献金等で集めてきていたわけです。だいたい7〜8派閥ありますから、一派閥あたり年間10〜20億円くらいの企業献金を集めていたと考えられます。民主党はお金持ちの鳩山氏を除いては企業献金を集められるのは小沢氏しかいませんから、40〜50億円は小沢氏が一人で集めていたと推測されます。こう考えていくと、小沢氏が一度に4億円を右から左に動かしていたのも、それくらいは運転資金の一部(売上の10%に相当)だろうとつじつまが合うわけです。

     こういうふうに数字で見てみると、現状では政治活動を行っていく上で政党に絶対的にお金が足りないことがおわかりいただけると思います。加えて、これからはアメリカの例等から見て選挙にかかるお金はどんどん増えていくと推測されます。とすれば、今、民主党から「企業献金禁止」という案が出てきていますが、もしそうなると間違いなく、今以上に不透明なお金がアンダーグラウンドで流れることになるのは必然でしょう。企業献金を廃止するということは個人献金のみにするということですが、日本には個人が政党にお金を出して政治に参画していこうというカルチャーが全くないからです。「企業献金は企業の思惑が入るからいけない、すべて清い個人献金にすべきだ」などと理想論をしたり顔で述べるマスコミや評論家や力のない政治家が星の数ほどいますが(個人だって思惑があって献金するのですよ)、彼ら全員に「あなたは今年、自分個人のお金で政治家に個人献金したことがありますか?」と尋ねてみればいい。私は断言しますが、まずほとんどいないと思います。みんなきれい事を言っていても、現在の政治家に自分の金を渡すのはドブに捨てるようなものだと思っているからです。「企業献金は汚いお金だ、禁止しろ」「きちんと政治活動をしろ」と言い、自分はお金を出さない。それでは手足を縛って「泳げ」と言っているのと同じでしょう。

     余談ですが、「きれい事を言いながら自分は政治にお金を出さない」という実例を、私は実際に如実に体験したことがあります。10数年前、私は地元香川県の放送局で『なんしょんな!香川』のテレビ番組(拙著『なんしょんな!香川』に沿った香川県への提言番組)を週1のレギュラーで2年間ほど、自腹を切ってやっていたことがあります。その番組はおそらく世界で始めて(?)、テレビでスポンサーを募って続けていました。個人が月額1万円、企業は10万円で、スポンサーのリターンは「番組の最後にテロップで名前出る」という名誉だけ、というシステムで、言わば香川をよくしたいと思う人からの「個人献金」に近い形で放送しようとしていたわけです。しかし、案の定ほとんど「献金」は集まらず、個人でお金を出してくれた人は20人程度、企業も10社程度で、毎月私が不足分を穴埋めしていて、結局2年くらいで力尽きて番組をやめることになったのです。その時、私が「やめる」と言うと、一緒に番組を制作していた放送局のディレクターをはじめとするスタッフが全員口々に「この番組は香川のオピニオンを引っぱっていくのに非常に大切だ」「こういう良心的なボランティア番組こそ地方局のあるべき姿だ」「みんな一生懸命やっている、ぜひ続けてくれ」などと言ってきました。しかし、調べてみると彼らは誰一人として個人スポンサーではなかった。みんな、番組で1人1万円の募集をしているのを知っているし、番組にお金が集まってないのも知っているし、私が毎月100万円もの自腹を切っているのも知っている。しかし、2年間もあれだけ身近にいて一緒に汗を流してきて誰一人として1万円を出す人がいなかったのです。断っておきますが、彼らはマスコミの中でも良心的な人たちでした。しかし、これが一般の国民の政治献金に対するスタンスだと知るべきです。そういうカルチャーの中で、赤の他人の政治家に個人が献金するとはとても思えないでしょう。

     ちなみに私も個人献金はしたことがありませんが、理由はただ一つ、私は企業献金を認めればいいと思っているからです。企業も個人も献金に思惑があるのは同じであり、日本には現在、個人が政治に金をビタ一文出さないというカルチャーがある。そんなところで個人献金型のシステムを作ろうとしても、欧米を真似てインターネットで個人献金を募ろうとしても、構造的、文化的にうまく行くとは思えません。では、それに代わる代案が何かあるかと言えば、そんな提案がマスコミや識者から出てきたのは見たことがありません。ただ、50年くらい経てばカルチャーが変化し、民主主義が成熟して個人献金型の政治ができるようになるかもしれませんが、現状ではとうてい無理な話だと知るべきです。加えて、今、日本は後継者不在の非常事態にある…それでも能天気に未来を信じて人体実験をやるのですか? 繰り返しますが、今、企業献金を禁止すれば、金の流れは必ず闇に潜ることになるでしょう。そんなことをするより、企業献金を自由にして政治活動を活性化し、その代わりお金の流れをすべてよりオープンにし、法に触れる部分だけをきちんと取り締まるという方向の方がはるかに現実的で健全な考え方だと思います。日本は民主主義に関し未成熟国なのだ、という現実を認めることから始めるべきでしょう。

    目をつぶって小沢氏に任せる時だ

     こんな事を言えば「何と不遜な」と袋だたきに遭いそうですが、あえて極論を言えば、小沢氏に関する不透明な4億円とやらも、彼が貯め込んだ活動資金とやらも、結局は全部選挙資金として使われる。つまり、何かの形で国民の誰かにリターンされるお金だと思いませんか? もちろん選挙に乗っかって私腹を肥やす「ゆすり、たかり」の類に流れる金もありますが。いずれ何らかの形で還流があるとすれば、今の鳩山、小沢バッシングは結局みんな金持ちや金をもらう人がうらやましいだけの「やっかみ」や「好き嫌い」ではないですか? もしそのお金が自分に回ってくると考えると、この異常なバッシングもトーンが下がるのではないでしょうか。いずれにしろ、これから3年半はアクシデントのない限り民主党政権が続くわけです。我々は「日本を変えてくれ」という願いで、また小沢氏の金集めの能力もダーティなやり方も知った上で民主党を選んだのですから、「やっかみ」でリーダーを潰すのはもういい加減やめるべきです。いくら何でも、こんなことをいつまでも続けていると後継者がいなくなり、日本はどうしようもなくなります。残念ながら民主党でリーダーシップをとれるのは小沢氏ただ一人しかいない。その小沢氏に期待するのは「日本を変えること」と「後継者を育てること」の2つ。そして複数の違うタイプの後継者候補を育て、数年後に環境に最も適した後継者に禅譲する。わずか4億円に目をつぶって日本の国が良くなるのならそれに越したことはない、というのが私の意見です。