書籍

なんしょんな!!香川・PARTT
なんしょんな!!香川・PARTT
「行政の役割」水は誰のものか/人の渡らぬ橋、車の走らぬ道/広い家 他
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTU
なんしょんな!!香川・PARTU
「高齢者対策の処方箋」
1,200円(税込み)
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・PARTV
なんしょんな!!香川・PARTV
「教育の危機」学校教育の危機/崩壊する家庭教育/的外れの企業内教育
1,200円+税
有料会員のみ閲覧できます
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
なんしょんな!!香川・Q&A BOOK
「Q&A」行政の役割/水問題/交通問題/時事
800円(税込み)
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKU
この本は、都村長生氏の政経塾「長生塾」とそのホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです
800円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKV
この本は、当ホームページに寄せられた質問に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKW
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2003年5月〜2007年3月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
なんしょんな!!香川・Q&A BOOKX
この本は、当ホームページに寄せられた質問(2007年5月〜2008年12月)に対し、都村氏が答えた内容をまとめたものです。
100円+税

長生塾ホームページ終了のお知らせ

なんしょんな Q&A詳細

  • 【184】 (5)短・中・長期的成長戦略(2010.7.2) (高松市・教員K)
    政権交代後、初の参議院選挙が目前に迫ってきましたが、民主党のあまりの迷走に加え、自民党もただ与党の足を引っぱるばかりで、かといって少数野党もひどく、正直どう投票するべきか悩んでいます。「自分で考えろ」と言われそうですが、都村さんはどういう考えで投票されるのでしょうか。自分で考えるための参考に、ぜひ教えて下さい。
  •  今度の参議院選挙でどこに投票すべきか、どういう基準で判断するべきか、という話ですね。「どこの誰に投票しなさい」とはもちろん言えませんが、今回私の考えている判断基準をお話ししますので、ご参考になれば幸いです。

     投票というのは、民主主義の原則から言えば「自分の考えに最も近い政策を掲げている政党や個人(候補者)に投票する」というのが本筋でしょう。しかし、私はここ10年くらい、その「政策優先」という原則を無視して、「政権交代」を最優先の判断基準とし、目をつぶって民主党に入れ続けてきました。

     「こんな候補者に入れるのか、何と情けない…」という辛い思いを何度もしながら、それでも「政権交代を何度も繰り返さない限り、日本の民主主義は成熟しない」という認識に基づいて野党第一党に投票してきたのです。それが今回やっと実って、私にしてみれば「政権交代」という最優先の目的が達成されたというわけです。

     ちなみに今、民主党の政治が迷走していますが、私には想定の範囲内の出来事です。先の衆議院選挙で民主党に多大の期待をして投票した多くの人は、今の民主党の政治に失望しているようですが、私は以前から「民主党政権になっても決して日本の社会は良くならない、かえって悪くなるかもしれない」と何度も申し上げてきました。

     何しろ政治家の質は信じられないくらい低いし、まだ1回目の政権交代ですから、そう簡単にいきなりバラ色の社会になるわけがない。少なくとも4〜5回の政権交代を繰り返して、30〜40年かけてようやく日本の民主主義が成熟していくことになるだろうから、今のひどい政治については、ある程度「こんなものだろう」と思っているのです。

     いずれにしろ、1回目の政権交代が実現したわけですから、次の政権交代は少なくとも4年後の衆院選になります。従って、その時までに、少しは今よりましな政権担当可能な政党、政治家を育てる必要があります。そのために、私は今度は「政策本位」で、私の考える政策に一番近いところに投票するつもりです(残念ながら、どの政党の政策もかなり悲惨ですが)。

     私の考える政策というのは、ビジネスで言えば非常に常識的なことに過ぎません。すなわち、「つぶれかけた会社を立て直すにはどうすればいいか」というビジネスの基本的な戦略が、「つぶれかけた日本を立て直すにはどうすればいいか」という政治の政策となるだけです。

     その内容についてはこれまでに何度も繰り返し本欄を通じてお話をしてきましたが、極端に言えば、やることは2つしかありません。それは、ビジネスで言えば
    (1)コストダウンを行う
    (2)売上を伸ばす
    の2つです。永田町の言葉で言えば「財政再建」と「成長戦略」と言うのでしょう。では、1つずつ見ていきましょう。

    社会保障費に手をつけない限り、コストダウンは絶対できない

     まず、コストダウンの話です。ビジネスでコストダウンを行う時の鉄則は「経費項目の大きいものから手をつける」ことです。

     皆さん方の会社で、よく「コストダウンをやろう」と言って、例えば昼休みに電気を消して回ったり、新聞の購読数を減らしたり…と、細々とやっているところがありますが(もちろんやらないよりはやった方がいいのですが)、1億円のコストダウンが必要な時に、数万円、数十万円の経費節減をやっても、根本的解決にならないことは誰にでもおわかりでしょう。

     平成22年度の一般会計によると、プライマリーバランスをチャラにするためだけで、44兆円(総予算92兆円)を超すコストダウンが必要なのです。たかだか数千億円の効果しかない事業仕分け等、やっている暇はないのですよ。

     すると、行政のコストダウンも「最も大きいコスト項目から手をつけなければならない」という話になります。行政コストにおける最も大きい項目は、言うまでもなく、医療費、介護費、年金等に代表される「社会保障費」です。

     22年度の一般会計によれば、日本の社会保障費は27兆円を超え、一般歳出(53兆円)の何と半分強を占めている。この数字は一般会計から払われている数字ですが、総額で言えば国民医療費も年金支給額も、それぞれ支出は軽く30兆円を超えているのです。従って、ここに手をつけない限り、コストダウンは絶対にできないと知るべきです。

     今、「高齢化社会の進行とともに社会保障費が増えるのは仕方がない」という話が当然の前提として言われていますが、それは全くの幻想です。まず、そこから話を始めない限り、コスト等削れるわけがない!

     確かに高齢者が増えた分、社会保障費は増えるでしょうが、一方では、社会はどんどん豊かになってきているのです。普通に考えれば、豊かになれば社会保障費は減るはずでしょう? すると、両者を相殺すれば、どう考えても今の社会保障費の伸びは異常だと言わざるを得ません。では、なぜ社会保障費が異常に増え続けるのか?

     その根本的な原因は、福祉の便乗者(疑似弱者)が激増していることに尽きます(『なんしょんな!香川PART3』、Q124等参照)。すなわち、政治が票欲しさに「民意様」(Q183参照)の機嫌を取って、「福祉だ、年金だ」と言って「弱者にお金を配ります。弱者は手を挙げてください」と医療や介護にお金をばらまき続けた。

     その結果、「我も我も…」と福祉の便乗者(疑似弱者)ばかりがどんどん増えて、砂漠に水をまくようにどんどんお金が吸い込まれていった。これが福祉大国日本の実態だと知るべきです。

     中でも大きな比率を占めるのは、老人福祉に対する疑似弱者です。例えば、老人医療費がタダ同然となると、病気でもない(病院に行く必要もない)のに病院に行って国の医療負担を増やす。タダ同然の介護を受けられるとなると、頑張れる者まで介護を受けて国の介護保険負担を増やす。あるいは、若年層よりはるかに預貯金の多い老人も平然と年金をもらう…等々。

    「長嶋型老人」に「我慢しろ!」と言えるのか?

     私はこうした「くれる物は何でももらう」「あれも欲しい、これも欲しいとおねだりをする」という老人のことを、かつて「あれも欲しい、これも欲しい」と言って他球団から4番とエースをどんどんおねだりで買ってもらっていた長嶋監督になぞらえて「長嶋型老人」と呼んでいます。そして、今の日本の社会保障費増大の一番の原因は、この「長嶋型老人」の増大と、票欲しさに彼らのおねだりにすべて応えようとする政治の姿にあると思っています。

     その結果、社会保障費は増大しているのに「長嶋型老人」が途中でピンハネをしてしまって、本当に救いの必要な老人にお金が回らない、という状態になっている。対策はまず、この現状認識から出発すべきです。そうでないと、いくら福祉に予算を回しても “強欲じいさん” が全部ピンハネしてしまうからです。

     さらに言えば、その増大する社会保障費は大量に発行され続ける国債で賄われているわけですが、その借金を払うのは「長嶋型老人」の子供や孫、ひ孫、あるいはまだ生まれてきていない子孫たちです。これを例えれば、「長嶋型老人」たちが子や孫の貯金箱に手を突っ込んで、「おじいちゃん、おばあちゃん、取らないで!」と泣き叫ぶ子や孫に「うるさい! じいちゃん、ばあちゃんがいい目をしたいのがなぜ悪い!」と言ってお金を取り出して遣っている…という話でしょう。恐ろしいことに、それが今の日本社会の姿なのです。

     従って、本気で財政のコストダウンをやるなら「長嶋型老人」に「無駄遣いをやめて我慢して下さい」と言うしかないのです。ところが、そこに手をつけるべきだと主張する政党が一つもない!(我慢した分は子供が自分の親を養って埋め合わせよう、というのが私の提案ですが(『なんしょんな!香川PART1』P169〜参照)…そこまで望むつもりはありません)。

     ということは、根本的に今の政党には「コストダウンはできない」ということです。事業仕分けも、やらないよりはやった方がいいのですが、それは仕事場の電気をこまめに消しているのと同じで、削るお金が一桁違うからです。

     また、「民意様」大推奨の「肥大した官僚機構のムダを削減する」という話も、金額的には社会保障費削減には遠く及びません。そもそも、官僚機構の無駄を省くには公務員の数を減らさないといけないのですが、そのためには公務員法(国家公務員法、地方公務員法)を改正して役人をクビにできるようにしないといけない。

     しかし、そんなことを主張している政党にもお目にかかったことがありません。役人のクビを切れなくて、どうして役人の数を減らせるというのでしょうか? つまり、そんなことを言えば公務員の票が逃げる…どの政党も全く本気でやる気がないのでしょう。

     こう見てくると、コストダウンについては非常にミゼラブルであることは誰でもおわかりでしょう。まあ、せめてきちんと行政改革をやって、わずかでもコストダウンになりそうなことをやってくれるところを選ぶしかない、といったところが現実でしょうか。

    成長戦略を語る政党がない

     次に、売上を伸ばすという話です。これまで日本の経済を引っぱってきた家電や自動車をはじめとする数々の有力産業が今、内需、外需とも軒並み頭打ち状態になっています。言うまでもなく、今の日本には「売れる商品」がなくなってきている、新しい成長産業を作るしかない、という「成長欠乏症」の局面にあるわけです(Q164参照)。

     成長産業分野についてもこれまでに何度も述べましたが、短期的(10〜20年)には、今の日本人が一番欲しいもの(最も強いニーズ)である「安くて広い家」、すなわち住宅ビジネスでしょう。そのために、
    ・農地の宅地化を阻む規制や農地優遇税制等をすべて外し、農地の流動化を進める(『なんしょんな!香川PART1』参照)。
    ・がんじがらめの建築基準法を廃止し、自由に安く家を建てられるようにする(Q77参照)。
    等の政策を行わねばなりません。

     そうすれば、平均的な年収の人が、年収の5〜6倍の値段(3000万円程度)で、通勤時間30分以内の場所に、100坪の土地に100坪の家を建てられるようになる。当然そこには家電製品や家具、車等の消費も伴いますから、これが実現すれば10〜20年間はかなりの経済効果を生み出すと考えられます。

     中期的(20〜40年)には、軍事産業と宇宙産業が最も有望な成長産業です(Q164168参照)。専守防衛に徹した兵器産業を興し、日本の技術を結集した短距離型の防衛兵器を作って、自主防衛体制を実現する。また、それを世界に販売すればいい。現在は、言うなれば狭い高松市内をコンボイで突っ走るような重厚長大なアメリカの中古兵器を高い値段で買っているわけですから、効率もはるかに改善されるでしょう。

     一方、自主防衛には検知、監視システムが最重要になるので、関連して宇宙産業も興り、合わせて50兆円〜100兆円規模の経済効果が見込める中期的な成長エンジンになる…というイメージです。

     長期的(50年後)には、パルチザンの獲得が鍵になります(『なんしょんな!香川PART1』、Q164等参照)。パルチザンが集まってくるようなビジネス環境(優遇税制等)を整え、彼らに、宇宙産業や軍事産業から出てくる新しい技術のシーズをベースに新しいビジネスを興してもらい、50年くらい先の安定成長に結びつける。

     当然、今から手をつけ始める「新原子力発電の研究開発」と「遺伝子組み換え作物による食糧増産」(Q175参照)の2つが、これらの中核を担うことは間違いないでしょう。CO2削減などに現(うつつ)を抜かしている他国など尻目に、日本は独自の道を歩めばいいのです。

     これが、私の考える成長のイメージであり、日本のような資源のない国が生き残っていく唯一の姿(高付加価値型技術立国)だと思います。

     しかし残念なことに、ここでもこうした成長戦略を掲げている政党は全く見当たりません。まず、短期的な住宅ビジネスについては、民主党も自民党もこれにまったく逆行する「農業を守ります」という政策を掲げている。次に、中期的な成長産業として民主党が掲げているのは「環境・健康(医療、介護)・観光」だそうですが、これが全く成長分野でないトンチンカンな的外れな発想だということは既に述べました(Q170参照)。

     また、長期的成長戦略では、「成長欠乏症」と「利益欠乏症」の違いもわからず(Q164参照)、「パルチザン」の意味もわかっていないのではお話になりません。

     つまり、国が成長分野に直接投資をするというのは、実は最悪の手段なのです。なぜか? 役人には成長分野が何であるかがまるでわかっていない上に、彼らは投資といっても補助金等で直接お金をばらまくことしか頭にありません。

     すると、企業にしてみれば、自分で競争してビジネスをやるより政府からお金を取った方が早くて楽だから、汗水垂らしてビジネスを大きくするより楽して補助金をかすめ取ろう、という風になってしまう。歴史上の事実として、国が丸抱えで旗を振った産業は全て滅びに向かっていることを知らねばなりません。

     つまり、国が成長分野に投資するというのは、民間企業が、あるいはパルチザンがビジネスをやりやすいように環境を整えることなのです。例えば、農地の保護税制を撤廃して「土地の流動化」という環境を整えれば、ビジネスが起こる(もちろん「農業をやりたい」と言う人は自由に農業をやればいい。滅びるだけですが…)。パルチザンに優遇税制を与えれば、パルチザンが集まってきて成長ビジネスが起こる(極端に言えば、儲ければ儲けるほど税率が下がる「逆累進課税」も考えられます)等々…。

     繰り返します。我々には成長を生み出すことはできませんが、パルチザンが気持ちよく働く環境を創り出すことはできるのです。そこを間違わないでください。

     そういう役割分担が、政府や役人には全くわかっていないのです。今は全て、政府が成長産業のビジネスモデルまで作ってやろうとしている。それなら、財務省の役人全員に100億円ずつ渡してビジネスをやらせればいいではないですか? 間違いなく、全員が失敗すると思いますが。

    悲惨な選択肢ではあるが…

     いずれにしろ、「長嶋型老人」のわがままを切ることもできない、成長産業を生み出す方法もわからない、という今の政党の現状では、日本の国を建て直すために必要な「コストダウン」も「成長産業の創出」もとてもできる状態ではない、ということがおわかりでしょう。しかしそれでも、投票を棄権するわけにはいかない(現状を認めて白紙委任することになりますから)。

     従って、かなり悲惨な選択肢ですが、私は上記の「私が考える政策」にどの政党(あるいは候補者)がより近いか、よりマシかを探して投票します。そして、次の衆議院選挙までに少しでもきちんとした政策を持つ政党が出てくるのを祈るしかない、というのが私の意見です。

     私としては、50年計画で日本の民主主義を確立する、その第一歩がようやく始まったのだ、というくらいの長い目でこの参議院選挙を捉えることをおすすめします。